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大会展望


いよいよ開幕直前!
世界の熱い戦いを見逃すな!

 9月8日朝、日本中を沸かせる朗報が届いた。アルゼンチン・ブエノスアイレスにおける国際オリンピック委員会(IOC)の総会で採択された2020年オリンピック・パラリンピックの開催都市は「東京に決定」というニュースである。

 この一報で日本のアスリートや子どもたちの目標がいっそう高くなった。今月17日に開催されるYONEX OPEN JAPANに出場する海外選手のなかにも、7年後に向けて夢を膨らませるアスリートも少なくないはずだ。

ここでは、9月4日に発表された大会ドローをもとにYONEX OPEN JAPANを展望する。(世界ランキングは9月5日BWF発表による)

男子シングルス

世界ランク1位のチョンウェイと2位諶龍の決戦なるか

 各国を代表する神たちが集結するこの種目は、世界ランキング10位内の選手が全員出そろう豪華な顔ぶれとなった。

 やはり優勝候補筆頭は世界ランキング1位のリー・チョンウェイ(マレーシア)をおいて他にないだろう。この1年間で、12大会あるスーパーシリーズ(SS)のうち、6大会を制覇。日本への愛着は誰よりも強く、3度目の頂点を見据える。8月の世界選手権で負った足のケガが心配されるが回復傾向にあり、大会までには万全の調子を取り戻すことを約束している。

 この速さに自信のあるスピードスターにとって、最大のライバルとなるのは、2011年優勝の諶龍(中国・チェンロン)だろう。11年の決勝で相まみえた際は、189センチの諶龍が巨体に似合わない素早いフットワークで、チョンウェイの速い球回しに応じ、攻撃で上回って初優勝を飾った。これまでの対戦成績は、チョンウェイが7勝6敗と拮抗しており、決勝で2人の対戦が実現すれば、世界最高峰の熱い戦いになることは間違いない。

田児賢一と佐々木翔。打倒・諶龍に燃ゆ

 この諶龍に熱い闘志を燃やしているのが日本のエース田児賢一(NTT東日本)と、ロンドン五輪8強の佐々木翔(トナミ運輸)だ。ドローでいけば、佐々木は2回戦、田児は準々決勝で諶龍と顔を合わせる。

 佐々木は厳しい肉体改造のすえ手に入れた豪打で5連敗中の相手から勝機を探り、田児は天才の誉れ高いラケットワークで諶龍攻略の道を探る。田児は、「諶龍は肉体的に恵まれているだけでなく、とても努力家。リスペクトできる選手であり、同い年として負けたくない最大のライバル」と気を高めている。

 この田児が諶龍に勝てば、インドネシアの若き至宝・トミー・スギアルト(インドネシア)か、中国の杜鵬宇(ドゥ・ペンユー)と準決勝で対戦する。今年6月のシンガポールオープンでスーパーシリーズ初優勝を遂げたスギアルトは、元世界王者のイチェック・スギアルトの息子で、確かなDNAを持つ。杜鵬宇は攻撃型の多い中国には珍しく泥臭いまでのラリー型で、粘り強さは相当だ。どちらが上がってくるにしても、田児には一筋縄でいかない相手となりそうだ。

チョンウェイの対抗馬はブーンサックや王睜茗

 一方、準決勝までのチョンウェイのライバル筆頭候補は、昨年2位のブーンサック・ポンサナ(タイ)だ。31歳というベテランの年齢に達したが、柔らかい手首を生かしたラケットワークの巧みさは健在。相手の意表を突く老練さは見逃せない。

 また1回戦の好カードは、ベトナムのグエン・ティエンミンVS中国の王睜茗(ワン・ツェンミン)戦。動きの速さでは、チョンウェイと1,2位を争うグエンと、23歳の伸び盛り王睜茗との対戦は、白熱することが明らか。どちらかが、ここで得た勢いを駆って決勝戦へ進む可能性も大いにある。

 この対戦の勝者と2回戦で当たる日本の桃田賢斗(NTT東日本)にももちろん勝機はあるだろう。9月上旬の全日本社会人では、高卒ルーキーながら頂点に立った。非凡の誉れ高い19歳は、すでに世界ジュニア優勝などの実績を積み上げており、2020年7月の東京オリンピックを脂の乗った25歳で迎えるという幸運に恵まれている。東京五輪でのメダル獲得のためにも、ヨネックスオープンジャパンで存在感を示してもいい頃だ。


女子シングルス

ロンドン五輪優勝の李雪芮が初来日

 女子シングルスで見逃せないのは、なんといってもロンドン五輪優勝の李雪芮(中国・リ・シュエルイ)が初めて日本のファンの前でプレーすることだろう。

 李雪芮は、ロンドン五輪が開催された2012年に突然、世界の表舞台に現れたため、ヨネックスオープンジャパンに出場したことがない。そのいかにもチャイナといった長身から繰り出す猛打は常人のレベルを超えており、日本のファンはそのプレーに度肝を抜かれることだろう。第1シードに位置しており、もっとも女王の座に近いところにいる。

 この李雪芮が胸に秘めているのは"リベンジ"だ。8月の世界選手権では、決勝まで進みながら、タイのラチャノック・インタノンの男子ダブルスのようなプレーに屈した。中国勢、とくに女子選手には伝統的に優勝以外、国から評価をされにくく、ヨネックスオープンジャパンでは、世界選手権で失ったプライドを全力で奪い返しにくる。

 この思いは、世界選手権でインドの新星、18歳のプサルラ.V.シンデュに敗れた中国の王儀涵(ワン・イーハン)、王適嫺(ワン・シーシャン)も同じに違いない。

 ちなみにヨネックスオープンジャパンでは、準々決勝で李雪芮VSシンデュ戦、準決勝でラチャノックVS王儀涵もしくは王適嫺の対戦となる可能性が高く、世界女王のラチャノックやシンデュがどう受けて立つかが見ものになる。

 もちろん、昨年、ヨネックスオープンジャパンを制した19歳の戴資頴(中華台北・タイツーイン)もまた上位をねらっている。昨年、スーパーシリーズを初制覇したシンデレラは、基本をやや離れた変則的なフォームが特徴。ネコ科の野生動物を思わせる動きは要チェックだ。

日本は三谷美菜津に期待

 9月5日発表の世界ランキングで、日本最上位に位置しているのは、昨年10月のフランスオープンで優勝した三谷美菜津(9位・NTT東日本)だ。

 この1年ですっかり海外トーナメントで自信をつけ、貫録ある選手に成長。「我慢では誰にも負けたくない」と言い切る忍耐強さが武器で、順調にいけば準々決勝でインタノンと対決する。

 このほか、28歳のベテラン廣瀬栄理子(ヨネックス)は、昨年の2位以上が目標。「昨年の結果は悔しい気持ちだけが残った。今年は優勝を目指して頑張りたい」ときっぱり前を向く。2回戦の王儀涵戦が大きな山場だ。

 また世界ランキング20位の高橋沙也加(日本ユニシス)は、スディルマンカップで、インタノンを相手に3ゲーム19-21まで健闘した実績がある。まだ調子に波があるが、左腕から繰り出す鋭い攻撃がはまれば一気に化ける潜在力も。クールビューティが五輪王者の李雪芮あたりを破ってくれれば、バドミントン界のみならず、スポーツ界のアイドルになるかもしれない。その瞬間を観られればおもしろい。


男子ダブルス

世界王者のアッサン&セティアワンを中心に展開

 強いインドネシアが戻ってきた! バドミントンに国技の誇りを持つインドネシアだが、ここ数年、中韓ダブルスの強さの陰に隠れることが多かった。その理由は、どの国よりも技術が高いのだが、そのぶんトリッキーなプレーでミスが出やすく、一度でもミスしたら相手の得点になるラリーポイント制とかみ合わなかったためと見られる。

 しかし、インドネシアに暗闇を突き破るダブルスがとうとう誕生した。昨年よりペアを結成したアッサン/セティアワンだ。今年の世界選手権で初めてこのペアでビッグタイトルをゲット。アッサンのイチかバチかのプレーと、極めて堅実なセティアワンのプレーがよい化学反応を呼び寄せている。

 一方、そんなアッサン/セティアワンにもっとも対抗できると目されているのは、デンマークのベテラン・ボー/モゲンセンだ。世界選手権では、決勝でアッサン/セティアワンに13-21、21-23で敗れる悔しさを味わい、リベンジに燃えている。欧州のペアらしい破壊力と、相手にコースを読ませない球出しは必見だ。

 もちろん、日本選手にも勝機はある。今大会では、早川/遠藤(日本ユニシス)、園田/嘉村(トナミ運輸)、平田/橋本(トナミ運輸)の3ペアがシード権を獲得した。

 なかでも期待は、世界ランキング5位で、全英選手権で日本史上初の準優勝を飾った早川/遠藤だ。遊び心満載の早川のプレーに遠藤のコートカバー力が光る27歳ペアは、準決勝でボー/モゲンセンと顔を合わせそうだ。デンマークペアには、3連敗中だが、直近の試合ではファイナル負けと徐々に近づいており、2人には、日本人初のヨネックスオープンジャパン優勝という歴史的瞬間を期待したいところだ。


女子ダブルス

松友&高橋が王座をねらう スエマエはラストマッチ

 日本男子同様、女子ダブルスにも表彰台の期待がかかる。世界ランキング3位の高橋/松友(日本ユニシス)はこの1年で決勝に3度上がっており、ヨネックスオープンジャパンでスーパーシリーズ初優勝を飾る力を秘めている。豪打を轟かせる高橋は、「今年、スーパーシリーズでよい結果を残せている。本大会では、まだ満足いく結果を残せていないので、優勝を目指して一戦一戦頑張ります」と、決意を述べている。

 この2人の最大のライバルは4ペアを送り込んだ中国勢だ。第1シードの馬晋/湯金華(マー・ジン/タン・ジンファ)はもちろんのこと、組み換えでパックに入ってきたロンドン五輪の女子複&混合複のチャンピオン趙蕓蕾(ツァオ・ユンレイ)と、成淑(チェン・シュー)のペアがめっぽう強そうだ。高橋/松友にとっては、趙蕓蕾/成淑と当たる可能性の高い準々決勝が最初の山場になるだろう。しかし、ここを越えても男子並みの高さで襲いかかるデンマークのリター・ユール/ペダセンが準決勝にも控えており、気の抜けない戦いが続く。ただ、組合せが厳しいぶん、頂点に就くことができたら喜びはひときわ大きいはずだ。

 なお、08年の北京オリンピックで第一シードを破って4位入賞を遂げた末綱/前田(ルネサス)ペアの末綱が今大会を持って国際大会から退く。日本女子史上最高のネットプレーヤーと言われる末綱の第一線でのプレーはこれで見納め。2011年に成し遂げた自己最高の2位を越えて有終の美を飾りたいところだ。


混合ダブルス

中国ペアが第1・第2シードを確保

 この1年間、スーパーシリーズの混合ダブルスの王座は、中国の徐晨/馬晋(シュー・チェン/マー・ジン)、張楠/趙蕓蕾(ツァン・ナン/ツァオ・ユンレイ)、昨年の覇者であるマレーシアのチャン・ペンスン/ゴー・リューイン、デンマークのニールセン/ペダセン、インドネシアのアマド&ナッチルのたった5ペアで分け合ってきた。

 ヨネックスオープンジャパンには、アマド/ナッチルは出場しないが、ほか4組は参加する豪華な顔ぶれとなり、激しい戦いは必至だ。第1シードから第4シードに位置したこの4組のうち、今大会を制したことがあるのは、張楠/趙蕓蕾とチャン・ペンスン/ゴー・リューインで、あとの2組は準優勝に留まっている。かたや2度目の優勝を見据え、かたや悲願を胸に抱いているという構図になっている。

 このほか、おもしろい存在なのは、05年優勝のタイのプラパカモル/トゥントーンカム、インドネシアの兄妹ペア、キドー/ブルナデスペアか。

 日本は世界選手権8強の早川/松友(日本ユニシス)が準々決勝以上を狙う。